名古屋社労士事務所ニュース vol.854
■ 在職老齢年金の減額縮小 人手不足対策 働き控え是正
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厚生労働省は一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす在職老齢年金の
制度を見直し、減額の対象者を縮小する調整に入った。高齢者の手取りを増
やすと同時に、働き控えを是正して人手不足対策につなげる。年金財政を安
定させるため、厚労省はあわせて高所得の会社員の保険料負担を引き上げる
案も検討する。25日に開く社会保障審議会年金部会で提案する。与党との調
整を経て年末までに方向性を固め、年明けの通常国会に提出する年金制度改
正の関連法案に盛り込む。
厚労省は減額が始まる基準額について、現行の50万円から62万円や71万円
に引き上げる案を検討する。減額を完全に廃止する案も年金部会に提示する
が、今回の制度改正では見送る公算が大きい。制度を見直せば、働く高齢者
の年金給付が増えるものの、将来世代の給付水準が低下するとの課題がある。
制度の廃止には年4500億円が必要になる。給付減額の縮小を進める一方、年
金財政を安定させるための方策も示す。厚労省は高所得の会社員が払う厚生
年金保険料の上限を上げる方向だ。
■「103万円の壁」引上げ合意 自公と国民に大きな溝 上げ幅は持ち越し
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自民、公明、国民民主の3党は20日、年収103万円を超えると所得税が課さ
れる「103万円の壁」を引き上げることで合意した。国民民主の主張を与党側
が受け入れた。22日にも閣議決定する経済対策に明記する。引き上げ幅など
で協議を続けるが、与党内には大幅な引き上げへの慎重論が根強く、「178万
円」を訴える国民民主と折り合えるかが焦点となる。
■ 通院・仕事の両立支援「企業の努力義務」 厚労省方針
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厚生労働省は22日、病気の治療と仕事の両立支援に取り組むことを、企業
の努力義務として法律に盛り込む方針を明らかにした。働く高齢者の増加な
どに伴い、通院しながら働く人が年々増えており、2022年には4割に達してい
ることに対応する。労働政策審議会の安全衛生分科会で同省が説明した。こ
れまでは法令上の規定はなく、周知啓発にとどまっていた。厚労省は、パワ
ハラ防止などを定める労働施策総合推進法で法的に位置付けることを提案し
た。今後、同分科会で議論を進める。労災の防止に向けて、高齢者に配慮し
た作業環境の整備を企業の努力義務とする方針も示した。従業員の精神状態
を調べるストレスチェックについても、すべての企業での実施を義務付ける。
【名古屋社会保険労務士事務所】