名古屋社労士事務所ニュース vol.857
■ iDeCo 掛け金上限7000円上げ 企業型併用の合計額 政府・与党調整
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政府・与党は個人型確定拠出年金(イデコ)の掛け金の限度額を引き上げ
る調整に入った。企業に勤める人がイデコと企業型確定拠出年金(DC)を併
用した場合の合計限度額を月7000円上げる方向だ。2025年度の与党税制改正
大綱に盛り込む。公的年金を補完する資産形成で老後の暮らしの安定を促す
とともに、政府が掲げる「資産運用立国」を加速させる。
今は企業に勤める人がイデコと企業型DCを併用した場合、掛け金の合計限
度額は月5万5000円としている。これを月6万2000円に引き上げる。月2万円と
していたイデコ自体の掛け金の上限は取り払う。企業型DCなどの制度がない
会社員については、イデコの掛け金の上限を月2万3000円から月6万2000円に
引き上げる。自営業者やフリーランスについては、国民年金基金の掛金との
合計額を月7万5000円と、7000円引き上げる。
■ 5年に1度 年金改革の狙いは
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5年に1度となる年金制度改革について厚生労働省の項目案が10日、出そろ
った。厚労省は2025年の通常国会に法案提出を目指す。少数与党のもとで政
策の実現は簡単ではない。
見直しの第一の柱は基礎年金の底上げだ。厚労省は財政が比較的安定して
いる厚生年金の積立金の一部と、追加の国庫負担を基礎年金に投入して底上
げする。基礎年金は現在より1割低い水準で下げ止まり、現状の見通しに比べ
ると3割上振れする。上乗せの厚生年金の水準は下がるが、基礎年金の底上げ
効果が大きく、厚生年金受給者の大半は合計の年金額が増える。
第二の柱は「働き控え」を減らすことだ。改革案では「週20時間以上働く
人は原則として厚生年金に入る」というルールに見直す。「106万円の壁」は
なくなり、約200万人が新たに厚生年金の対象となる。それでも週20時間の手
前で働き控えが起きうるため、実際の月収で13万円(年収156万円)未満のパー
ト労働者を対象に、労働者側の厚生年金保険料の負担を企業が肩代わりでき
る仕組みをつくる。標準報酬月額では12.6万円(年収151万円)未満となる。
高齢者の働き控えも防ぐ。一定の給与所得がある高齢者について受け取る
年金額を減らす「在職老齢年金制度」を縮小して、満額受給できる人を増や
す。現在は給与と厚生年金の合計額が月50万円を超えると、受け取る厚生年
金が減る。この基準額を62万円か71万円に引き上げる方向だ。高齢者の就労
意欲がそがれないようにする。
第三の柱は高所得者の負担増を通じた年金財政の安定だ。賞与を除く年収
798万円以上の人の厚生年金保険料を増やす。現在は厚生年金保険料の算出に
用いる「標準報酬月額」の上限が月収65万円となっているが、75万~98万円
に引き上げる。同日の部会でパート労働者の厚生年金の適用拡大と遺族年金
制度の見直しについて大筋で了承された。
■ 「年収150万円」に引き上げへ 学生バイト
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政府・与党は12日、大学生らを扶養する親の税負担を軽減する「特定扶養
控除」について、アルバイトなどをする子どもの年収上限を現行の103万円か
ら150万円に引き上げる方向で調整に入った。2025年からの適用を検討。25年
度税制改正大綱に反映させる考えだ。自民、公明両党は11日、国民民主との
3党税制調査会長協議で、26年から子の年収上限を130万円に引き上げること
を提案した。これに対し国民民主は、配偶者が働いても収入が150万円になる
までは控除が満額受け取れる「配偶者特別控除」と同じ、150万円への引き上
げを主張。25年からの適用を求めた。
■ 石綿労災の事業所最多 昨年度 申請増加で
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厚生労働省は11日、アスベスト(石綿)が原因の疾患で2023年度に労災認
定された人や、特別遺族給付金の対象となった人が働いていた全国1233事業
所の名称や所在地、従事した作業内容をホームページで公表した。年度ごと
の集計を始めた08年度以降で最多となった。このうち新たに公表されたのは
975事業所。公表した事業所数が最多となったことについて、担当者は「特別
遺族給付金の請求期限が延長されたことが広く周知され、申請が増加したこ
とが要因」としている。
【名古屋社会保険労務士事務所】