名古屋社労士事務所ニュース vol.759
■ 年金運用 企業にも責任 来年法改正へ 金融機関任せ脱す
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金融庁は企業年金の運用について企業自身も責任を負うように初めて法律
で義務付ける方針だ。これまで信託銀行などの金融機関に任せる企業も多か
ったが、専門家をそろえた運用体制などが求められる。2023年の通常国会で
金融サービス提供法などの改正を目指す。企業年金の加入者は約1700万人。
確定給付企業年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)を導入する約9万2千社
を含めた年金関係者が規制の対象となる見込み。
法改正ではまず、顧客への説明責任などを課す同法の対象に金融商品を販
売する銀行や保険、証券会社だけでなく、企業年金を加えることを検討して
いる。さらに同法に「最善利益義務」と呼ばれる規定を盛り込む見込み。こ
れまでは金融機関の自主的な取り組みを促すことで、顧客の利益を最優先す
るように促した。だが販売側を優先した金融商品の組成や選定が多くみられ、
法律での義務付けが必要と判断した。最善利益義務を法律に明記することで
企業年金や金融機関が加入者に対して責任を持って運営するよう促す。金融
庁が金融機関を検査したり、顧客や加入者が損害賠償請求したりする時の根
拠となる可能性もある。
■ 介護保険見直し 年内とりまとめ先送り ケアプラン有料化など断念へ
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介護保険制度の給付と負担の見直しについて厚生労働省は、年内の結論と
りまとめを先送りする方針を固めた。ケアプラン(介護サービスの計画)の
有料化など法改正が必要な見直しは、2024年度からの実施を断念する。高齢
化で増え続ける給付を抑えるため、審議会ではケアプランの有料化や比較的
軽度とされる要介護1と2の人のサービスの一部を保険給付から外して市町村
の事業に移すといった7項目を検討。しかし、利用者や関係団体から利用控え
や適切なサービスをうけられなくなると反発され、大半の実施を見送ること
にした。
一方、65歳以上の高所得者が払う介護保険料の負担引き上げやサービス利
用料の2~3割負担の対象者拡大、介護老人保健施設などの多床室の室料を全
額自己負担とする案は、年明け以降も検討を続ける考えだ。
■ 労災 不服申し立て可能に 事業主の保険料増額で
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労災が起きると事業所が負担する労災保険料が引き上げられる制度を巡り、
厚生労働省の有識者検討会は7日、事業主の権利として不服申し立てできる仕
組みに見直す方針を了承した。事業主の責任否定を助長し、賠償請求訴訟な
どに影響するとの懸念の声もある。
厚労省によると、近年は作業事故などに比べて分かりにくい精神疾患の労
災認定が増え、事業主が不満を訴えるケースが多発。認定の取り消し請求権
を認めた訴訟の判例もあり、検討会で対応を議論していた。労災認定が不相
当と裏付ける新証拠が見つかるなどして不服が妥当とされた場合、保険料の
引き上げを取り消す。被災者の不利益にならないよう労災認定自体が取り消
されることはない。
■ 出産育児一時金 現在の42万円から50万円へ増額 首相が表明
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岸田文雄首相は臨時国会の閉会を受けた10日夜の記者会見で、出産育児一
時金について、現在の42万円から50万円へと増額すると明らかにした。「過
去最高の引き上げ幅だ」とし、「来年4月に発足するこども家庭庁の下、政府
の総力を挙げ、『こども真ん中』社会の実現に向けた道筋を来年6月までに示
す」と述べた。また、出産や育児に使える子ども1人あたり10万円分のクーポ
ンの配布について、「来年以降も継続してお届けする」と明言した。
【名古屋社会保険労務士事務所】