名古屋社労士事務所ニュース vol.765
■ 雇調金の不正受給判明 187億円に 3カ月で50億円超増加
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企業が従業員に支払った休業手当を国が補助する雇用調整助成金(雇調金)
をめぐり発覚したコロナ下での不正受給が、昨年12月末時点で1221件、総額
187億8千万円に達したことが厚生労働省への取材で分かった。前回集計した
同9月末時点に比べて301件、51億9千万円増えた。不正の発覚が急増している
のは、全国の労働局が調査を強化しているためだ。
企業は、不正をした月の受給額はペナルティーとして2割を上乗せして返還
しなければならず、途中で不正行為をやめていたとしても、翌月以降の受給
分も全額の返還を求められる。ペナルティー分も含めて昨年12月末までに厚
労省が回収したのは128億7千万円。不正総額の7割弱にとどまり、以前より回
収の遅れが目立ってきた。
■ 新型コロナの休校時助成金 3月で終了 4月からは対象限定
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厚労省は23日、コロナ禍で子どもが学校や幼稚園を休んだ際に保護者を支
援する「小学校休業等対応助成金」を、3月末で終了することを決めた。利用
がピークを越えたと判断した。4月からは対象を絞り、別の制度で助成する。
これまでの助成金は、子どもが通う学校や幼稚園が休校・休園した場合や、
子ども自身が感染して休んだ際、有給休暇をとった保護者の賃金相当額を企
業に1日あたり最大8355円支給してきた。4月からの「両立支援等助成金」は、
企業がテレワークや短時間勤務、フレックスタイムなどを設けることを条件
としたうえで、保護者が休んだ場合に助成する。支給額は日数にかかわらず、
1人あたり10万円に変更する。また、これまでは企業側が有休の取得を認めな
い場合、保護者が自ら申請をして国から給付金を受け取ることもできたが、
新制度ではできなくなる。
■ システム開発も裁量労働制に 法改正なく対象業務拡大
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あらかじめ決めた時間を働いたとみなす裁量労働制で、厚労省はIT(情報
技術)を活用したデータ管理システムの構築などの業務も新たに適用対象に
加えることが分かった。2024年にも、企業からの届け出ごとに適用されるか
どうか決まるようになる。法改正はせず現行法の再解釈と運用見直しで実現
する。対象拡大を企業に周知し、適用の判断基準を明確にすることなどが課
題になりそうだ。
新たに制度の対象となるのは、車両メーカーが車両とIT(情報技術)を組
み合わせて顧客データを大規模に収集する管理システムの開発など「課題解
決型開発提案業務」と、生産ラインの作業効率や人事制度の刷新など「裁量
的にPDCA(立案・試行・結果測定・本格実施のサイクル)を回す業務」の2類
型。2022年12月末の労働政策審議会の分科会で、銀行・証券のM&A(合併・買
収)業務を新たに対象とする報告書が示された。この報告書は課題解決型な
ど2類型にも制度対象を広げることを意味する記述を含んでいたが、これまで
外部にわかりやすく説明されていなかった。
【名古屋社会保険労務士事務所】