名古屋社労士事務所ニュース vol.794
■ 奨学金返済 企業肩代わり 21年開始 千社近く利用
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社員が大学生時代に借りた日本学生支援機構の奨学金を企業が返済する
「奨学金返還支援制度」を導入する企業が増えている。制度開始は2021年4月
で、今年7月末時点では972社が利用し、千社の大台に乗る勢いだ。機構は
「建設業や製造業などで人手不足が深刻化しており、求人の際にアピールで
きる」と分析。離職防止にも効果があるとみている。
新制度では、肩代わりする金額や、月払いか一括払いかなどは企業側が決
める。企業が直接機構に送金し、法人税の控除も受けられる。注意点として、
企業の送金が滞った場合は社員が残りを返済する義務を負う。一方、社員が
離職した後、企業がそれまで送金した分を本人に請求する恐れがあるとして、
機構はそうした行為をしないよう企業側に伝えている。機構によると、制度
の利用者数は、社員ベースで21年度813人、22年度1708人、23年度(7月末時
点)2057人と伸び続けている。
■ 育休の業務代替手当 中小企業向け助成125万円に増額
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厚生労働省は2024年度から育児休業者の仕事を代替する同僚に手当を支給
する中小企業を対象に助成額を拡充する。24年度予算の概算要求に盛り込ん
だ。中小企業向けの関連助成金に育休の業務代替を支援するメニューを新設
する。現行は3カ月以上の育児休業を取った人の業務を代替する際に、事業主
が手当を支給すれば育休社員1人につき10万円を助成する。新たなメニューで
は最大125万円と10倍超に助成額を増やす。1カ月10万円、12カ月までを上限
に育休の取得期間に応じて支給する。1カ月未満の育休も支給対象にする方向
で、個人の事情に柔軟に対応した支援ができるようになる。
育児のために時短勤務する人の業務代替手当を支給した場合、最大110万円
を事業主に助成するプランも準備する。育休社員の代替要員として新規に雇
用した場合の助成額も引き上げる。現在は最大50万円支給されるが、およそ
3割増の最大67.5万円にする。雇用期間は最短7日から最長6カ月以上までで、
代替期間に応じた額を払う。
■ 出産費用 医療機関の26.5%が値上げ 一時金の増額後に
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厚生労働省の調査によると、政府の出産育児一時金の増額にあわせて出産
費用を値上げした医療機関が26.5%あったことが分かった。光熱費などの高騰
を受けて値上げに踏み切る医療機関が多く、出産費用の実質負担が軽くなっ
ていない可能性がある。7日に開かれた社会保障審議会の医療保険部会で示し
た。調査は2232施設のうち8割にあたる1742施設から回答を得た。
国は23年4月、出産育児一時金を42万円から50万円に増やした。22年4月か
ら23年4月にかけて出産費用を引き上げた医療機関は全体の44%だった。一時
金の増額決定後に値上げした施設の理由は「水道光熱費や消耗品などの高騰
のため」が87.6%で最も多く、「医療機器などの高騰のため」が68.3%で続い
た。「一時金の引き上げで自己負担への影響が少ないと考えた」と回答した
施設も半数ほどあった。今後の価格改定を予定している施設は26%、検討中は
27%だった。厚労省の集計では、正常分娩の費用は22年5月から23年5月にかけ
て2.3万円増えて50.3万円だった。
【名古屋社会保険労務士事務所】