名古屋社労士事務所ニュース vol.832
■ 「偽装フリーランス」153人 厚労省が初集計、23年度
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雇用契約を結んでいないフリーランスにもかかわらず、実質的に企業の指
揮命令下にある「偽装フリーランス」が2023年度の1年間で153人いたことが、
厚生労働省の集計でわかった。厚労省が偽装フリーランスの人数をまとめる
のは今回が初めて。
フリーランスで働く人のうち労働基準監督署が労働基準法における労働者
と認めたケースを集めた。労働者ではないフリーランスは、事業者側が社会
保険料負担や労働時間規制などから逃れるための抜け道として使うリスクが
ある。厚労省は集計結果を日本年金機構に提供しており、厚生年金などの適
用対象となるか調査している。
■ 男女の賃金格差 公表拡大へ 企業「100人超」で検討
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政府は11日「すべての女性が輝く社会づくり本部」などの会議を首相官邸
で開き、女性活躍や男女共同参画の重点方針「女性版骨太の方針2024」を決
定した。男女の賃金格差の公表を義務付ける企業について、現行の従業員
300人超から100人超への拡大を検討すると明記した。生理に伴う体調不良な
ど働く女性の健康への配慮や支援も企業に促す。企業の規模にかかわらず男
女の賃金格差を解消し、女性が働きやすい社会を目標とする。25年の通常国
会へ女性活躍推進法の改正案提出を目指す。
■ 厚生年金のパート適用拡大 企業規模要件「撤廃を」
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厚生労働省の有識者らによる懇談会は11日、厚生年金の適用範囲について
議論した。パート労働者らを対象にした適用範囲として、従業員数の規模要
件を撤廃すべきだとする意見が多く出た。厚労省は今夏に開く次回会合での
取りまとめを目指す。
2025年は5年に1度の年金制度改正の年にあたり、厚労省は年末へ向けて厚
生年金の適用対象を広げる方向で議論を進めている。11日の懇談会では企業
規模要件の撤廃と、従業員5人以上の個人事業所における飲食や宿泊業などの
非適用業種の解消を求める声が多くあがった。複数の事業所で働くマルチワー
カーやフリーランスの厚生年金の適用拡大については意見が分かれた。全国
健康保険協会の委員は「保険者として実務負担を考えると、現段階では一律
対応は難しい」と指摘した。
■ 外国人材「育成就労」成立 改正入管法 27年にも施行
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技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を創設する入管
難民法改正案などが14日、参院本会議で可決、成立する。「国際貢献」を掲
げた技能実習を廃止し、人材確保を目的に明記した。担い手不足の分野で未
熟練の労働者を受け入れて育成、一定の技術を持つ「特定技能」へつなげて
定着を図る。公布後3年以内に施行され、外国人材受け入れ政策は転換を迎え
る。
新制度では、即戦力とされる特定技能1号の水準に原則3年で育てる。熟練
した技能を要する特定技能2号に移行した後は、事実上永住も可能だ。受け入
れ対象分野を特定技能とそろえて一体運用し、長期就労を促す。技能実習で
は原則職場の変更が認められず、劣悪な就労環境から逃れようと失踪者が相
次いだことから、同じ業務分野で職場を変える「転籍」を一定条件で認める。
悪質ブローカー排除のため、手続きへの民間業者の関与を禁じる。
技能実習で受け入れ仲介を担う監理団体は「監理支援機関」とし、外部監
査人の設置を義務付ける。将来的な永住者の増加も見込まれ、納税などを故
意に怠った場合は永住許可を取り消し、別の在留資格に切り替える規定も設
けた。
【名古屋社会保険労務士事務所】