名古屋社労士事務所ニュース vol.841
■ 遺伝情報に基づく雇用差別 「法で禁止」周知へ取り組み
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医療に用いられる個人の遺伝情報に基づく雇用差別は、法令で禁止されて
いることを企業や労働者に周知しようと、厚生労働省はQ&A形式とした労働分
野の法令解説をまとめた。20日からホームページ上で公表している。国に差
別防止の取り組みを求める内容が盛り込まれたゲノム医療推進法の施行に伴
う措置。
解説によると、企業が労働安全衛生法に基づく労働者の健康管理のためと
して、遺伝情報を収集することはできない。職業安定法では、業務目的に必
要な範囲内で求職者の個人情報を収集するとされているが、遺伝情報は「社
会的差別の原因となる恐れのある事項」に該当し、収集は禁じられている。
■ 中小企業 法定雇用率達成5割未満 ミスマッチ大きく
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厚生労働省の23年の調査では国内の雇用障害者数(従業員数43.5人以上の
民間企業)は約64万人で前年比2.8万人増え、過去最高を更新した。18年から
障害者雇用義務の対象が、従来の身体障害者と知的障害者から精神障害者に
まで広がり、雇用の増加ペースが加速した。法定雇用率も段階的に引き上げ
られ、24年には2.5%になり、26年に2.7%になることが決まっている。
一方従業員数43.5~100人未満の中小企業の障害者の実雇用率は1.95%にと
どまり、法定雇用率を達成できている企業の比率は5割に満たない。大手企業
でも障害者に適切な仕事を提供できず、人材を生かし切れていないところは
多い。パーソル総合研究所が23年に実施した調査では、障害者雇用(精神障
害者以外)の課題として「障害者に合う業務がない」(48%)を挙げる企業が
最も多く、精神障害者では「採用選考時の見極めが困難」(63%)が最多だっ
た。
■ 財形 加入年齢引き上げへ 高齢者就労増で厚労省
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厚生労働省が2025年度税制改正要望に、利子が非課税になる財形貯蓄制度
に加入できる年齢の引き上げを盛り込む方針を固めたことが22日、分かった。
現行は55歳未満で、引き上げ幅は今後詰める。働く高齢者の増加を踏まえ、
対象年齢を広げて労働者の財産形成を後押しするのが狙い。
財形貯蓄制度は従業員が金融機関と契約し、勤務先の企業が従業員に代わ
って給与から天引きで預金をする仕組み。3種類あるうち「財形年金貯蓄」
「財形住宅貯蓄」は合算して550万円まで利子が非課税になる一方、加入時の
年齢制限が55歳未満となっている。労使の代表を交えた今年3月の労働政策審
議会(厚労相の諮問機関)で労働者側から、実態に合わせて加入できる年齢
を引き上げるよう求める声が相次いでいた。
【名古屋社会保険労務士事務所】