名古屋社労士事務所ニュース vol.855
■ フリーランスも保護対象に 発注側に労災の報告義務 法改正へ
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フリーランスら個人事業主の労働災害を防ぐため、厚生労働省は仕事を発
注する企業に事故の報告などを義務づける。働き手の安全を守る労働安全衛
生法は企業に雇用された労働者だけを保護対象としてきたが、フリーランス
も対象に加える。2025年の通常国会に安衛法の改正案を提出する方針だ。
報告書案によると、フリーランスに仕事を発注する企業などは、作業方法
や使用させる機械について安全への配慮が必要になる。建設現場などのほか、
荷物の搬入出、設備メンテナンスなどでフリーランスと労働者が混在する際
も、現場を管理する企業は作業の連絡調整が義務となる。さらに、フリーラ
ンスが死亡または4日以上休業するけがをした場合は、発注企業などは労働基
準監督署への報告が義務化される。過重労働で脳・心臓疾患や精神障害にな
るなどしたフリーランスが、自ら労基署に申告できる仕組みもつくる。
■ 「自爆営業」はパワハラ 厚労省が明記へ
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ノルマを達成するために自腹で商品を買い取る「自爆営業」について、厚
生労働省はパワハラに該当する場合もあるとして指針に明記する方針だ。自
爆営業は法律上の規制が明確でなく、放置されている事例も多い。企業に注
意喚起して未然防止を促す。
厚労省は自爆営業をパワハラ防止に関する指針に明記する。優越的な関係
を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、労働者の就業
環境が害されるものという3要件を満たすとパワハラに該当すると盛り込む。
自爆営業が直ちにパワハラとなるわけではない。近く労働政策審議会(厚労
相の諮問機関)の雇用環境・均等分科会に方針を示す。年内の了承と早期の
改正を目指す。
■ 満額年金 月収62万円まで 働く高齢者、支給拡大
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厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職
老齢年金制度」の適用基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から
62万円へ引き上げる方向で調整に入った。満額支給となる対象を拡大する。
「働き損」を解消して高齢者の就労を促し、人手不足対策につなげるのが狙
い。関係者が25日、明らかにした。与党との協議を経て、年金制度改革の関
連法案として来年の通常国会に提出を目指す。
■ 就活で学生の3割がセクハラ被害 防止対策義務化へ
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学生らが就職活動中に受ける性的な嫌がらせ「就活セクハラ」を巡り、厚
生労働省は企業に防止対策を義務付ける方針を決めた。立場の弱い就活生の
被害が相次いでおり、面談時のルール策定や相談窓口の設置を求める。26日
の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で了承を得た。
今年1月に厚労省が行った調査では、志望企業の社員らからセクハラをされ
た就活生は3割に上った。被害は「性的な冗談やからかい」「デートへの 執
拗しつよう な誘い」が多く、その影響として「就活への意欲の減退」「眠れ
なくなった」を挙げる人が目立った。厚労省はこれまで、同法に基づく指針
で企業に対策を求めていたが、被害が後を絶たないため強化が必要と判断。
同省は、こうした方針を盛り込んだ同法改正案を来年の通常国会に提出する。
■ 女性管理職比率公表 従業員101人以上で義務 男女の賃金差異も
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厚生労働省は26日、女性の管理職比率について従業員101人以上の企業に公
表を義務付ける方針を示した。非上場企業も対象で、女性の積極登用を企業
に求める。男女の賃金差異の公表義務は現行の301人以上から101人以上の企
業に広げる。厚労省が同日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の雇用環
境・均等分科会に方針を提示した。年内にもとりまとめ、2025年の通常国会
への女性活躍推進法改正案の提出を目指す。
女性の健康課題への取り組みも企業が公表する行動計画に盛り込むよう促
す。生理休暇の取得のしやすさなどを念頭に置く。一部の企業では生理休暇
の名称を変え、不妊治療にも使えたり、男性も取得できたりするよう制度変
更する例もある。女性活躍推進法は2016年4月に施行し、26年3月で期限が切
れる。女性活躍がまだ進んでいないことから、さらに10年延長して取り組み
を継続するとした。
【名古屋社会保険労務士事務所】