名古屋社労士事務所ニュース vol.856
■ 雇用保険料率 8年ぶり下げ 厚労省方針 来年度
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厚生労働省は、2025年度の雇用保険料率を8年ぶりに引き下げる方針だ。雇
用環境が改善していることから、失業手当に使う「失業等給付」の料率を下
げる。新型コロナウイルス禍に取り崩した積立金が回復傾向にあることを反
映する。具体的な下げ幅を近く労使の代表者が参加する労働政策審議会の部
会に示す。すでに同部会では0.4~0.7%に下げた場合について試算結果を示し
ており、労使の代表者から、引き下げへの反対意見は出ていない。
■ 未成年扶養 年金を増額 配偶者加算は縮小へ
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厚生労働省は18歳未満の子どもや65歳未満の配偶者を扶養する厚生年金受
給者を対象に、年金額を上乗せする加給年金制度を見直す。出生順に関係な
く上乗せ額を一律にして受給額も引き上げる。配偶者が対象の加算は将来的
に縮小する。2025年の年金制度改正での実現を目指す。加給年金制度のうち、
子どもに関わる加算を増やす。配偶者を対象とする加算については将来的に
縮小する。現在は配偶者が65歳になるまでの間、一定の要件を満たせば年金
受給権のある夫か妻の受給額が増額される。
■ 公益通報者への不利益処分 企業に因果立証責任案
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公益通報者保護制度の見直しを議論する消費者庁の有識者検討会は4日、年
内の報告書取りまとめに向け、法改正する上での論点を整理した。企業から
解雇といった不利益な取り扱いを受けた内部通報者が訴訟を起こした際、通
報と処分の因果関係についての立証責任を事業者側に負わせる案などが示さ
れた。通報者の保護や負担軽減を図る狙い。
■ 「106万円の壁」撤廃 26年10月に 政府案
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厚生労働省はパート労働者に社会保険料の負担が発生する「106万円の壁」
を2026年10月に撤廃する調整に入った。企業規模による加入要件も27年10月
に撤廃して、週20時間以上働く人は原則として社会保険料を納める仕組みに
移行する。与党幹部に政府案を示した。調整を進めたうえで、25年通常国会
に年金改革関連法案を提出する。
年収106万円以上の賃金要件を26年10月になくすのは最低賃金の見直し時期
を踏まえた。仮に25年と26年も、24年と同じ上げ幅になれば、すべての都道
府県で週20時間働く人の年収が106万円を超えることになる。壁を撤廃する環
境が整うと判断した。企業規模の要件は27年10月に撤廃する。規模要件をな
くすことで、勤務先に左右されずに手厚い保障を受けられるようになる。
29年10月からは5人以上の従業員がいる個人事業所の全業種を厚生年金の加入
対象にする。
■ 年収156万円未満の負担軽減 パートの社会保険料 企業肩代わり
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厚生労働省は年収156万円未満のパート労働者の社会保険料を会社が肩代わ
りする仕組みを整備する方針だ。2026年4月に導入する方向で調整する。社会
保険料の負担が発生して手取りが急減する「年収の壁」対策の一環で、働き
控えをする人を減らす。企業の負担軽減措置も検討する。10日に開く社会保
障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会に案を示す。
新たな仕組みでは、企業が社会保険料を計算する基準となる「標準報酬月
額」の等級ごとに、企業判断で負担割合を変えられる。対象は月収8.8万円以
上、13万円未満(年収換算で106万円以上、156万円未満)を想定する。例え
ば年収106万円の人は9対1で企業が多く負担し、156万円が近づくにつれて本
来の5対5に戻していければ、手取りがなだらかに増えやすくなる。厚生年金
は労使折半が原則のため、厚労省は時限的な仕組みと位置づける。
【名古屋社会保険労務士事務所】