名古屋社労士事務所ニュース vol.858
■ カスハラ対策 企業に義務 従業員保護 法案提出へ
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厚生労働省は16日、全ての企業に対し、顧客らが理不尽な要求をする「カ
スタマーハラスメント」(カスハラ)から従業員を保護する対策を義務付け
る方針を示した。就職活動中の学生へのセクハラ防止策も義務とする。深刻
化するハラスメント対策を強化し、安心して働ける職場環境をつくる。来年
の通常国会で関連法案提出を目指す。
報告書案は、カスハラを(1)顧客や取引先、施設利用者らが行う(2)言
動が社会通念上相当な範囲を超える(3)就業環境が害される-の3要素を満
たすものと定義。言動の内容や手段から判断し、1回でも該当するとした。従
業員保護の具体策として、事前にカスハラ対応方針を明確化して周知すると
ともに、被害に遭った従業員からの相談に適切に対応する体制整備を挙げた。
「正当なクレーム」はカスハラではないとも指摘した。
■ 「子どもの介護」でも休業取得しやすく 来年度からの基準改定へ
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厚生労働省は、企業などが従業員の介護休業を認定する際に使う「判断基
準」に、子どもの介護も対象だと明記する方針を固めた。現行の基準は高齢
者介護を前提としており、日常的に医療行為が必要な「医療的ケア児」や障
害児を育てる労働者から、申請しづらいとの声が相次いでいた。来年度から
の運用を目指す。厚労省は年内に有識者研究会を発足させ、障害児らを育て
る当事者や企業からヒアリングを行って基準の見直し案を検討する。
■ 企業で働く障害者67万人 過去最多も法定率届かず
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厚生労働省は20日、民間企業で働く障害者は6月1日時点で前年比5.5%増の
67万7461.5人だったと発表した。調査対象企業の全従業員のうち障害者の割
合を示す雇用率も前年比0.08ポイント増の2.41%で、いずれも過去最高を更
新。ただ、4月に引き上げられた法定雇用率2.5%には届かなかった。法定雇
用率を満たした企業は46.0%だった。
■ iDeCo 掛け金上限 7000円上げ
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個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)は掛け金の上限を引き上げる方向性
を打ち出した。少額投資非課税制度(NISA)も、購入できる上場投資信託
(ETF)の品ぞろえの拡充を金融機関に促す。公的年金の先細りが懸念され、
私的年金を拡充して老後に向けた資産形成を後押しする。
企業に勤める人がイデコと企業型確定拠出年金(DC)を併用した場合の掛
け金の上限額を現状の計月5万5000円から月6万2000円に上げる。このうちイ
デコへの拠出は月2万円までとなっている上限をなくす。企業型DCなどの制度
をもたない会社の従業員は、イデコの掛け金の上限を月2万3000円から月6万
2000円に引き上げる。自営業者やフリーランスについては国民年金の拠出額
との合計を月7000円上げて月7万5000円にする。イデコに掛け金を出せる期間
も65歳未満から70歳未満に拡大する。
■ 70歳まで就労可能な企業 31.9%に上昇 厚労省調査
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厚生労働省が20日発表した2024年の高年齢者雇用状況等報告によると、
70歳まで働ける措置を導入している企業の割合は31.9%と前年比2.2ポイント
上がった。この措置が努力義務となった21年以降30%を超えるのは初めて。人
手不足が深刻になるなかで高齢者の雇用が広がっている。従業員数21人以上
の企業を対象に、6月1日時点の状況を調べた。実施した措置で最も多かった
のは、定年を迎えた社員を引き続き雇用する「継続雇用制度」で25.6%、定年
制の廃止が3.9%、定年の引き上げが2.4%だった。規模別では、300人以下の中
小企業は32.4%と高かった。
【名古屋社会保険労務士事務所】