名古屋社労士事務所ニュース vol.880
■ カスハラ防止が企業の義務に 改正法成立
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顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント」対策を企業に義務
付ける改正労働施策総合推進法などが4日、参院本会議で可決、成立した。
2026年中の施行を目指す。従業員をカスハラから守るため、企業に防止措置
を義務付ける。対応方針の明確化や相談窓口の設置を求める。パワハラやセ
クハラはすでに企業の防止義務があったが、カスハラはなかった。パワハラ
やセクハラと同様、企業への罰則はない。
男女雇用機会均等法も改正し、就職活動中の学生に対するセクハラ防止を
企業に義務付ける。相談体制の整備や学生との面談時のルール策定などを想
定する。改正女性活躍推進法では従業員101人以上の企業に対し、女性の管理
職比率と男女の賃金差異について公表を義務化する。26年4月1日に施行する。
■ カスハラ防止 愛知県が条例 10月施行目指す
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愛知県は5日、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント」を防
止する条例を制定すると発表した。6月の県議会に提出し、10月1日の施行を
目指す。カスハラ防止対策事業費として6月補正予算案に1900万円を盛り込み、
弁護士や社労士など専門家の相談窓口の設置や、啓発動画の作成などに充て
る。条例ではカスハラの禁止とともに県、事業者、就業者、顧客などの責務
を定め、罰則は設けない。
■ 告発者保護 改正法が成立 報復を抑止 事業者側に刑事罰
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告発者の保護を強化する改正公益通報者保護法が4日の参院本会議で可決、
成立した。告発したことを理由に社員や職員を解雇・懲戒処分とした場合、
関与した関係者に6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金、また法人に3千万円
以下の罰金を科す。公布から1年6カ月以内に施行となる。事業者側に厳しい
刑事罰を導入することで、告発への報復的行為を抑止し、適正な対応を促す
ことが狙いだ。
解雇・懲戒が刑事罰の対象となるのは「通報を理由とした」場合で、理由
について処分した側とされた側で争いになることも予想され、捜査機関の判
断が重要となる。民事で争いになる場合は、通報者側の負担を軽減。公益通
報後1年以内に解雇や懲戒を受けた場合は通報への報復を受けたと推定する。
処分した側が「通報が理由ではない」と主張する場合はその立証責任を負う。
内部通報の受け付け体制の整備促進も強化する。事業者が窓口の担当者を
配置せず、行政の命令に従わない場合に30万円以下の罰金を科す。公益通報
者を探索する行為の禁止を盛り込み、保護対象を契約終了後1年以内のフリー
ランスにも広げた。
■ デジタル給与 初年度の口座1.7万件
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厚生労働省は6日、デジタルマネーで給与を受け取る「デジタル給与払い」
の登録口座が2024年度末時点で1万7210件だったと明らかにした。24年9月に
第1号のPayPayの支払いが始まって半年ほどの実績となる。労働政策審議会関)
の労働条件分科会に示した。決済や送金の月間利用額は25年3月に約1億
3000万円で、3月末の1口座あたりの残高は4168円だった。政府はキャッシュ
レス推進の一環として23年4月にデジタル払いを解禁した。PayPayのほかリク
ルート系や楽天系、au系の4事業者を指定している。
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