名古屋社労士事務所ニュース vol.906
■ SNSで脅しもカスハラ 無断撮影など 対策義務化へ指針案
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厚生労働省は10日、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント
(カスハラ)」の防止に向け、具体例や企業の対応策を盛り込んだ指針案を
示した。6月に成立した改正労働施策総合推進法は、適切な就業環境を維持す
るため、企業にカスハラの防止義務を課している。同改正法の施行は2026年
10月とする方針だ。厚労省として具体的な指針をとりまとめ、10日に開いた
労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に示した。
カスハラの典型例としてSNSなどインターネット上へ悪評を投稿することを
ほのめかして労働者を脅す行為や盗撮、無断での撮影を挙げた。つばを吐き
かけるほか、性的な要求をしたり、同じ質問を執拗に繰り返したりすること
などを列挙した。性的指向や性自認に関して侮辱的な言動をする「SOGIハラ」
もカスハラに該当しうるとした。
企業がとるべき対策の具体例として従業員を一人で対応させないこと、顧
客とのやりとりを録音・録画することなどを例示した。十分な説明をしても
繰り返しの要求が続く場合には退店を求めたり電話を切ったりするよう求め
た。暴行や傷害、脅迫など犯罪に該当しうる言動については警察へ通報する
よう促した。一方、客観的にみて社会通念上許容される範囲内であれば「正
当な申し入れであり、カスハラには当たらない」とした。
企業どうしの取引でカスハラが生じる場合もある。被害を受けた社員が所
属する会社から事実関係の確認など協力を求められた場合、加害が疑われる
社員のいる会社は「応じるように努めなければならない」とした。それを理
由に契約を解除するなど不利益な取り扱いをすることは「望ましくない」と
した。
■ 正社員と非正規 待遇差の説明強化 企業が雇用時に周知
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厚生労働省は正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じる同一労働同
一賃金について労働者への説明を強化するよう企業に求める。待遇の違いに
関し説明を求めることができると雇用時に周知を義務付ける。説明の求めが
なくても、待遇差の内容や理由がわかる資料を配るといった積極的な対応が
「望ましい」と指針に位置づける。11日の労働政策審議会(厚労相の諮問機
関)の部会に報告書案を示した。同一労働同一賃金を定めた働き方改革関連
法の施行から5年が経過し、見直し議論を進めてきた。年内にも報告書をまと
める。法改正は見送る方向だ。
■ 協会けんぽ 34年ぶり保険料率下げ 収入増を還元
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日本最大の公的医療保険の運営主体が現役世代の負担抑制に動く。主に中
小企業の従業員や家族ら約4000万人が加入する全国健康保険協会(協会けん
ぽ)は2026年度に平均保険料率を下げる調整に入った。現在の10.0%を9.9%と
する方向だ。引き下げは34年ぶり。賃金の上昇などで保険料収入が増えて財
務が改善しており、働き手に還元する。有識者や事業主、加入者代表でつく
る運営委員会で12月下旬に議論し、26年4月納付分(3月分)から適用する。
■ 留学生のバイト許可厳しく 政府 勤務時間の管理強化
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政府は大学や専門学校で学ぶ外国人留学生の就労審査を厳しくする。入国
時に申請すれば原則許可する仕組みを改め、就業状況や勤務時間を厳密に管
理する。2026年度にも制度を改正し、規定時間を超える勤務や留学を抜け穴
とした不法就労を防ぐ。
入国後に就学状況や勤務先を申請し、入管庁が個別に審査する方式への切
り替えを検討する。留学生が得た収入を納税情報から確認できる仕組みを導
入する方向だ。27年から、マイナンバーを活用したデジタル庁のシステムを
使う。マイナンバーは中長期で在留する外国人にも付与される。自治体が管
理する外国人の税や社会保険料の納付状況から勤務実態を調べる。
【名古屋社会保険労務士事務所】
